※【国際特許出願】のため、特許申請内容の詳細は、割愛させて戴きます。
ミルク、ジュースなどの飲料では、飲料に酸素が混在すると、酸化による品質劣化、あるいは、液体流量を計測する場合、気体の混在は、計測精度を低下させ、また、濁度計測においては、混入気泡が光を散乱・吸収させるため、混在微粒子と区別ができず誤差要因と成ります。
あるいは、塗料に空気などの気体が混在すると、赤外線乾燥過程で気体膨脹により塗面にピンホールが形成され、塗面の仕上がりが低下し、また、超音波を用いた洗浄装置では、気泡が超音波エネルギーを吸収して、洗浄効果が低下する問題が有ります。
このような背景から、液中の気泡の除去(脱泡)や、気体除去(脱気)は重要な課題です。
これらの脱泡あるいは脱気技術は、数多く開発されておりますが、液体から気体を除去する一つの方法として、流体に旋回流を付与し、遠心力で液体と気体を分離・捕捉し、気体を外部に排出する“脱泡器”が提案されています。{その他には、外部駆動のインペラを回転させる方法――スクリュー泡イーター[(株)技術開発総合研究所の申請特許技術]や、真空ポンプを用いた――真空脱泡器等が有る}
しかしながら、従来の構成では、流体に強い旋回流を付与できず、殊に流体の粘度が高い場合に、旋回流の速度減衰を小さくできず、効率良く脱泡できない欠点が有りました。
これまで、「(株)技術開発総合研究所」では、“脱泡→→→脱気”に至る『極限脱泡』を目指して開発を進めて来、旋廻流方式に関しては、過去に特許申請【特願平4-359974】しましたが、特許庁拒絶査定で引用された「昭和08年出願の特許技術――特許第104449 号(三菱造船(株))」と基本的な考えが類似のため、特許取得を断念する一方、従前を超える、更なる性能向上を目指して開発を進めて参りました。≪【註】その当時は、特許の申請技術に疎かったため、特許庁の指摘通り、出願技術は類似原理と判断し、特許の取得困難と考えましたが、今現在は、重要な細部の技術構成が異なる事から、拒絶反論により、特許取得可能であったと考えています≫
しかし、高性能化・高度化を進めて来た結果、大流量処理を安価に行うには、逆に、製造価格が嵩む問題が生じて参りました。
そこで、【本願】の目的は、原点に立ち返って、極めて簡単な構造
で流体に強い旋回流を付与することが出来、且つ、粘度の高い流体に対しても旋回流の速度減衰を小さくして、大流量の液体中の脱泡を効率良く行える――簡単構造の脱泡器を提供する事に有ります。
市販品(技術)に、【特許第3261506号】や、あるいは【特許第2766604号――三菱石油(株)】に基づく商品が市販されて居ります。
何れも、①容器下部(底部)の入口管から、気液混合流体を供給し、②それより上部(上流側)で、旋廻流半径を小さくして気泡を収集・分離して、③容器下部(底部)より気泡排出する構造で、気泡除去を図っております。
これらの方法では、液中に大量の気泡(気体)が包含されている場合は、気体の浮力等で下流側に気体が流出する可能性が有ります。
【本願】では、液体中に50(%)を超える気体が混在しても、こ
れを排除するために、脱泡器の上部(頭頂)側に“入口管”が、底部には、“出口管”が配置されており、脱泡器の中央(中心)部には、同軸状に“気泡排出管(バブル・パイプ)”が配置された事を特徴としています。
即ち、【本願】技術では、非常に構造簡単で有りながら、(イ)液体中の大量の気泡の排出が可能で、(ロ)~200(cPs)程度の粘度流体の、(ハ)『通常脱泡(脱泡)→→→極限脱泡(脱気)』可能な構造として、(ニ)~2000(㍑/min)に至る処理流量を、安価に可能とした点に、大きな特徴が有ります。
|